事業所得が赤字になったら税金が戻ってくる?

Sail to 確定申告

はじめに

こちらの記事で、「給与所得」と「事業所得」の違いとそれぞれの計算方法を簡単に説明しました。

「給与所得」と「事業所得」の両方がある場合、確定申告では、この二つの所得を合算してから税金を計算することになります。所得自体は別々に計算するものの、税金を計算する前にはこの別々の所得を足し合わせるのですが、もし皆さんが行う事業で赤字が出た場合はどうなるのでしょうか?

今回は、「給与所得」と「事業所得」の両方がある場合で、さらに「事業所得」が赤字のケースについて、確定申告の留意点を説明したいと思います。

事業所得がマイナスになったら・・・?

所得税法上は、給与所得と事業所得の他にも、不動産所得や譲渡所得など、全部で10種類の所得があります。

大雑把にいうと、確定申告においては、これら10種類ごとの所得を別々に計算して、そのあとそれらを合計して(合計しない所得もありますがややこしいので省略します)、合計した所得の総額に対して税額を計算することになります。

所得の種類によっては、収入から経費を差し引いた額がプラスになるものばかりではなく、マイナスになるものもありますが、もしマイナスになった所得がある場合に、そのマイナス分を他のプラスの所得と合計しても問題ないのでしょうか?

基本的に、所得が少ないほど税金も少なくなるので、もしある種類の所得のプラスが大きかった場合に、他の種類の所得のマイナスをぶつけられれば、全体として税金の額が少なくなります。

所得税法においては、各種の所得金額の計算上で生じた損失(マイナス)のうち一定のものについてのみ、一定の順序にしたがって、総所得金額等を計算する際に他の各種所得の金額から控除することが認められています。このことを税金用語で「損益通算」と呼んでいます。

所得の金額の計算上マイナスが生じた場合に、損益通算の対象となる所得は次の所得です。

  1. 不動産所得
  2. 事業所得
  3. 譲渡所得
  4. 山林所得

なので、もし「給与所得」と「事業所得」の両方がある場合に、事業所得がマイナスになったら、給与所得のプラスとぶつけることができます。

そして、給与所得は理屈上マイナスとなることがありませんので、事業所得のマイナスを損益通算すれば、その分税金が戻ってくることになります。

損益通算する場合の注意点

このように、事業所得のプラスと給与所得のマイナスを合算すると税金が還付されるものの、それだったら、サラリーマンをしながら、形式的に何か事業を始めて、経費をたくさん使って(=自分が欲しいものを購入して)赤字にすれば税金を少なくできるんじゃないか、たくさん税金が戻ってくるんじゃないか?と思われるかもしれません。

これに関しては、その所得が「実質的」な事業活動による所得であると言えるのかどうか、という点がポイントになってきます。これは非常に判断が難しい問題であるのですが、こうしたグレーな部分を利用した脱税行為が起こらないように税務署も目を光らせています。

特に、事業所得が副業によるもの、かつ、収入金額が小さい場合で、必要経費が非常に多くて赤字となって損益通算している場合や、赤字が連続2年続いた場合には、税務調査の対象となる確率が高くなると言えるでしょう。

ただ、実際には、いくらまでなら必要経費に入れて良いとか、いくらまでの赤字なら認められるとか、そうした具体的なルールはありませんので、いくらであるかに関わらずに、実態としてそれが事業活動にとって必要な経費であるならば、いくらでも経費計上しても良いのです。そして、もしも税務調査が入った場合には、実際に必要経費であることを証明すれば良いだけです。

また、税務調査においてその所得が「事業」所得なのか「雑」所得なのかが争点になることがあります。もし、雑所得と認定されてしまった場合は、先にも述べた通り「損益通算(マイナスを他の所得のプラスにぶつけること)」ができませんので、過去の赤字に関しては所得がマイナスではなくてゼロであったものとして再計算して、所得税と住民税を追加で納めなくてはなりません(「事業所得」と「雑所得」の違いについてはまた別途ご紹介できればと思います)。

一方で、還付金が入るとなると、ついつい必要経費の過大計上をしてしまいがちになりますが、税務調査の際に、架空経費の計上などが見つかれば重加算税という重いペナルティーを受ける可能性もあります。脱税と認定された場合には、一般的な過少申告加算税とは違って、より多くの追徴課税をすることができる(より多くの罰金を発生させることができる)重加算税という税金が課税されてしまうので、仮に実態として「事業所得」であるとしても経費の過大計上はしないでください。

まとめ

  • 事業所得のマイナスは、他の所得(例えば給与所得)のプラスとぶつけることができる(これを損益通算という)
  • 損益通算を行えば、所得が少なくなり、それに伴って税金の額も減る
  • ただし、形式的に事業を行っているように見せているだけで、実態が伴っていない場合には、事業所得とは認められず(雑所得と認定され)、損益通算が認められない
  • 損益通算が認められるからといって、必要経費を過大計上すると重加算税のペナルティーが科されるため、適切な経理を行うことが重要

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